ノミやマダニは、草むらなどに潜み、散歩時などに犬や猫の被毛に付着し感染します。また、感染している犬や猫との接触によっても感染します。
毎年数件は必ず診る、非常に身近な感染症です。
病気としては、ノミもマダニも動物に対する直接的な病害はあまり大きくはないと言えます。
しかし、特に昨今問題視されているのはマダニが媒介する人に感染する感染症です。
様々な病気がマダニを介して人に感染することが報告されていますが、今特に注目されているのがSFTS(重症熱性血小板減少症)です。
SFTSはウイルスを原因とする病気で、人において、主に森や草むらでマダニに咬まれて感染します。致死率は6-30%と高く、2013年に国内で初めて報告されて以来、今までは主に西日本で発症が確認されていました。
しかし、今年3月に静岡県で、7月には千葉県で感染が確認され、東日本にも感染が広がってきていることが報告されています。
今年の日本全体における感染者数は、6月20日までで47人の感染が報告されていて、去年の感染者数を上回るペースと言われています。
またSFTS罹患動物から飼い主、そして獣医療従事者に感染した事例も報告されています。
こうしたことからも、以前に比べてマダニに対する予防の重要性は高くなっています。
特に暑い時期に発生が多い病気ではありますが、実際には冬場でも感染症例を診ることがあり、当院では通年における予防を推奨しております。
当院では、預かりにおけるワクチン接種の義務は一切設けておりません。
ただ、ノミマダニ予防に関しては、院内での相互感染を防止するため、トリミング、ホテル預かり、手術預かりなど、動物を一定時間預かる場合において、冬場も含めて、予防を必ず行って頂いております。
万が一感染が発覚した際に、同時にお預かりしている子達でノミマダニ予防ができていない場合は、予防薬の投与を全頭その場で行う必要があります。
フィラリア予防のシーズンが終わった後も、ノミマダニ予防はなるべく継続して頂くよう、お願い致します。