当院では、セカンドオピニオンの相談を承っております。
獣医師や動物病院によって、ペットに提供すべきと考える治療は同じとは限りません。
また、飼い主様それぞれによっても、受けたい治療は様々です。
当院においてセカンドオピニオン診療を行った4症例を紹介します。
症例1:膿皮症のセカンドオピニオン(ポメラニアン、オス、4才)
他院で膿皮症と診断され、抗生剤を1週間投与し、改善したため終了とされた。
すぐに再発し、当院受診。
→抗生剤再度投与、今回は計3週間抗生剤を投与した後に終了とした。
その後は再発せず。
・コメント
膿皮症は、一般的な犬の皮膚炎であり、細菌性皮膚炎とも言います。
通常3-6週間の抗生剤投与期間を必要とします。
不十分な抗生剤投与期間では再発しやすいだけでなく、耐性菌の発現や難治性の膿皮症に繋がる可能性があります。
症例2:歯肉炎のセカンドオピニオン(雑種猫、11才、メス)
他院で歯肉炎治療として抗生剤投与を数年前から繰り返しているが、改善が悪い。
→重度の歯肉炎と診断。
ステロイド治療を併用し、抗生剤治療のみに比べ、ある程度は改善するが不十分。
全臼歯抜歯を実施し、その後は良好に経過。
・コメント
猫の歯肉炎は、抗生剤治療のみでは反応しないことが多いです。
ステロイド治療を併用すると、より改善しやすいことも多いですが、あまり重度の歯肉炎になってくると、それでも反応が悪くなってきます。
重度の歯肉炎の場合では、全臼歯(奥歯)抜歯、もしくは全歯抜歯を行う事で、その後は治療が必要無くなるか、軽い治療でも改善しやすくすることができます。
抜歯をした場合も、問題なくフードを食べることはできます。
症例3:肝臓腫瘍?(ミニチュアダックス、12才、オス)
他院におけるエコー検査で肝臓に腫瘍がある、と言われ、手術を勧められた。
→当院での検査により、「結節性過形成」という良性の変性であると判断。
経過観察とした。
その後2年の経過でも、エコー上の変化は起きていない。
・コメント
肝臓や脾臓には、高齢になると、腫瘍に見える「結節性過形成」と言われる良性の変化が生じることがよくあります。
肝臓の結節性過形成は、良性病変であり、通常外科処置を必要としません。
また、脾臓の結節性過形成は、良性病変ではありますが、場合により破裂を生じる可能性もあり、外科処置を検討することもあります。
症例4:仔猫の骨折(雑種猫、約2か月齢、オス)
保護した仔猫が右後肢を跛行しており、他院を受診。
骨折が見つかり、このままだと内臓を損傷する可能性があることと、手術には30-100万円かかると言われた。
費用はかけられない、とのこと。
→右大腿骨骨折と診断。
触診やレントゲン所見から、骨盤骨折は生じていないため、内臓損傷の心配は無し。
また、手術をしなくとも歩行可能になる程度には癒合するだろうと判断。
手術の必要性自体は低く、経過観察とした。
・コメント
仔猫における骨折は、骨折部位や骨折の仕方にもよりますが、必ずしも手術を必要としないケースもあります。
治りにくい経過であったり、現在行っている治療について気になることなどがあれば、まずは一度相談させて頂ければと思います。
私は、病気に関する知識や、その治療の必要性に関して、できるだけ自分と同等の理解を飼い主様も得ていなければ、治療は成功しにくくなると考えています。
また説明が不十分なために、治療を行っているにも関わらず、その病気に関する知識を十分に持っていない飼い主様も多数いることも感じています。
できるだけわかりやすく、理解できるようにお伝えしますので、気になることがあれば何でもご相談下さい。